社会人でPSW(精神保健福祉士)とキャリコン勉強中のひと

社会人歴、はや20年近く。第15回キャリアコンサルティング2級技能士、第18回精神保健福祉士を同時に受けた時の記録とか、社会人入学から4年かけて卒業した大学院の話題とか。

精神保健福祉士(PSW)とキャリア・コンサルティング技能士試験のW受験

W受験制度があるとかいう話ではありません、念のため。だけど、今や、キャリアコンサルティングメンタルヘルスは切っても切れない関係にあるため、PSWとキャリコンの両方を受験したという方も、中にはいらっしゃるのではないかと思っています。(まだ日常ではあまりそういう方には出会いませんが、これからきっと増えるのではないかと思っています)。

人材業界にいる人には馴染みのあるホットな話題なのですが、キャリア・コンサルティング資格が2016年より国家資格化されることが決まりました。これまでは、だれでも名乗ることのできていた「キャリア・コンサルタント」が名称独占化され、国家資格を受けて登録した者でなければ、キャリアコンサルタントや”その紛らわし名称”を名乗ることができなくなります。(2016年10月より)。

以上のような背景から、色々省きますが私も仕事の流れの中で、第15回のキャリア・コンサルティング技能士2級を受験することになりました。(以下キャリコンと呼びます)。キャリコン試験は現状では、標準レベルと呼ばれる民間資格(CDA、GCDF等)と、その上の熟練レベルと呼ばれる国家技能検定の技能士2級があり、どちらでも取得しておけば、新制度の国家資格を自動的に貰うことができるのですが、業務の関係上、私は技能士受験となります。

W受験にあたって、まず、試験日程が問題でした。

PSWの本番試験は1月23、24日。対してキャリコン技能士は筆記・論述が12月13日で、面接試験が1月9日から31日までのいずれか指定日です。そう、受験時期的には両資格モロかぶりというわけ。キャリコンの面接実技は一日に受験できる人数が限られることから、試験日は一か月の間に分散され、人によって違います。仮にキャリコンの面接試験日が23、24日に重なれば完全アウトとなりますが、キャリコンの願書提出時に面接試験の希望日が第二候補まで出せるので、その点においては、少なくとも試験日が重なる心配はありません。これは助かったというか、このしくみのおかげで、W受験が可能になったというわけです。

本当にW受験するかどうかは相当悩みました。PSWの準備が全然進んでいない中で、筆記・論述・面接というそれはそれでヘビーなキャリコン対策を乗り切れるのか。こんなに無理をして、これで両方落としたらアホすぎやしないかと。


私はクリスチャンなので、岐路の前では必ず時間を掛けて、自分の思いをいったん横に置いて、静かになって、祈ります。数日祈って、そうして、W受験しよう、という強い確信を得るに至り、両方に願書を出したのは9月終わりのことでした。その時の確信に押されて、ついに最後まで走り抜けることになりました。

この過酷な日々?を終えて今、自信を持って言えること。

実は、PSWとキャリコンのW受験は(筆記試験において)メリットだらけでした。

以下にまとめます。

 

メリット①受験範囲の重複・・・心理学は被るだろうと予想していましたが、それどころではありませんでした。

PSWに比べると、キャリコン技能士の筆記試験範囲はぐっとコンパクトです。PSWが専門6科目、社福共通11科目の計17科目から構成されるのに対して、キャリコン技能士は7章には分かれますが、教科書自体が(対策本じゃなくて教科書が)1~2冊に納まるという狭さです。試験時間も、2日間の合計5時間近く掛けて受験する163問のPSWに対して、キャリコンは90分の50問。この90分という時間も余る人が多くいて、私も見直しをしてもずいぶん時間が余ったので、キャリコン筆記試験当日は早めに退室して、混雑する会場の喫茶スペースを確保して休息を取り、午後の論述に備えました。

キャリコンは一問一問の問いもシンプルで、予習して知っていれば解けますし、知らなければ解けないという類のもの。PSWの一部項目のように背景や理論をちゃんと理解していなければ解けないという種類のものは少なくなります。PSWの”山登り感”と比較すると、キャリコンの筆記は手を付やすくいわば入門的な印象を持つことができるのは、きっと私だけではないはずです。

そのように比較的シンプルで短めの試験ながら、キャリコン試験の範囲には、PSWが知っておきたいエッセンスがギューッとコンパクトに詰まっています。これがW受験の最大のメリット。もうちょっと具体的に書いてみます。

・まず、心理学と社会理論の範囲ですが、ここは基本的な項目がまるかぶりしてきます。たとえば発達心理学なんて典型的で、エリクソンの発達段階を暗記しておけば解けるような問題も、両試験で出題されました。

・精神・心理的療法、カウンセリング技法、グループアプローチ、スーパービジョン、このあたりはまるかぶり。適性検査種類等も一部がかぶります。そして人口統計的な問題や、失業率や就業実態に関する統計、課題。このあたりも重なってきます。著名な社会学者も両方に同じ人が登場します。

・雇用対策的な問題もかなり共通点がありました。PSWにおいては最近出題傾向が強まって、福祉業界の方や学生さんに苦手意識があると思われる労働基準法的な内容は、キャリコン試験では基礎的分野として扱われます。労働者の自殺問題もそうです。どっちも厚生労働省の試験ですからね…考えてみれば。

 

メリット②キャリコン筆記→PSW本番との間が約1.5か月という絶妙な間

キャリコンの筆記を12月13日に受験して、PSWを1月23、24日に受験する。その間、1.5か月弱。

心理学、社会理論、厚労省系の制度や法規・・・こういった内容にキャリコン試験対策として入門し、PSW対策でより深く専門的な・広い範囲へアプローチしていくという流れが(対策本とか使っていると)自然にできてきます。1.5か月弱という時間は、そうやって深めていくにはちょうど良い時間だったかも知れません。間に正月休みがあって、まとまって勉強時間が作れるというのもまた、絶妙でした。

 

メリット③仕事への有利

PSWとして、キャリコンとして、両方の専門性と熟達を得て当事者と向き合うこと。そういう支援が様々な現場で実現していくこと。私は、ここに、すごく強い夢とか可能性を感じています。これは試験対策からはちょっと外れると思うので、改めて、別の機会に書きたいと思います。